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Walking wounded

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My Strange Mood

プライベートな話で恐縮ですが、私の周りは金持ちでいっぱいです。私は金持ちを友達にする才能があるようです。ありがたいことです。自分は全くそうではないのに。
先週末、知人が主宰するアパレルブランドのパーティがあり、招待されて出向いてきました。駐車場には黒服の係が配され、ムルシェラゴやらスカリエッティやら雑誌でしか見たことのない押しの強い車に占領され、カレラごときが付け入る隙もありません。白に金ラメ入りマイバッハの後部座席からはTシャツを着た子供のような男が頭一つ高い女と現れ、腕を組み白人の案内係に誘導され建物へと消えていきます。着飾った人たちが招待券を手にひしめく様子を、道端でハザードを点けながら眺めていました。

今は本当に景気がいいみたい。ある方のバースディ・パーティではビンゴの残念賞がRolex Explorer IIでした。かつてのバブルを連想する人もあるかも知れませんが、それとの違いは主役とおぼしき人たちの頭が格段にいいことだと思います。持てるひとはいつかなくすのではないかとビクつき、持たざるひとは永遠に持てないのではないかと心配する、みたいな一節が村上春樹の古い小説にありましたが、私の知る限り確かにお金持ちは失うことに敏感で、そのことを考えると眠れない人も多い。よく言われることですがお金には魔力があるのかも。人がお金を所有するのではなく、お金が人を乗り物として拡散していくイメージ。その先にはいつもの退廃という奈落が潜んでいます。

今夜もベランダから眺める東京はため息が出るほどきれいです。それを宝石箱と呼ぶ人もいるけれど、一つ一つの明かりに暮らす人はそれほど美しくも気高くもないと思う。ときに涙や汗に彩られていたり。そしてこの無数の光の中のどのひとつにも自分にふさわしい場所がないように思えるときがあります。
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私たちの犯す罪のほとんどは、無知と浅い分別からきているのです。
by Marshall Sanders
Based photo © by 紫的解放区
by unchained_melody | 2006-09-21 03:55 | Diary