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Walking wounded

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ありふれた理由

クリスマスに向けた仕事が一段落ついて、超多忙な日々から解放されました。アシスタントにあとを任せボラボラ島にでも逃げ出してしまいたい気持ちを抑え、昨日はドラマの打ち合わせのため夕方からお台場へ。事前にFAXで(笑)送られてきた40枚もの初回シナリオをファイルにはさみレインボーブリッジを越えていきます。
ロビーで広告代理店時代の同期をみつけ声をかけると、たまたま同じドラマの仕事に関わっていることがわかってびっくり。打ち合わせの後、今年入社の彼の部下の女の子も交え、芝大門は正泰門で焼肉を食べることになりました。店は混んでいましたが、いつもと同様わさび醤油のタレがイケてます。

どうしてうちの会社辞めたんですか?と女の子に訊かれ、つい考え込んでしまいました。理由はいくつもあったはずのに、なぜかたったひとつも思い出せない。なんでかな、と笑ってごまかそうとすると、当てましょうか?と彼女。私の目を覗き込むように、
「会議室の窓から見た夕日がきれいすぎたからでしょ?」
「それ、さっきオレがばらしたんだよ」と同期が笑う。そして上司から膨大な仕事を振られ、がらんとした会議室の窓から二人夕日を眺め黄昏れていたときの話に。当時まだ私たちの会社は築地の聖路加タワーにあり、窓から見る夕日はこの先の人生を間違ってしまいそうなほどきれいでした。
「好きなことをして生計を立てていくってどういう感じなんですか?」
「好きなことが一つなくなってしまうってことさ」と上ロースを焼きながら彼が答え、先輩に訊いてるんじゃなくって、と彼女は言い、まあそんな感じだよ、と私は答えました。

会社に戻るためタクシーに乗り込む二人を見送り、私は友達に会うため近くのタリーズへ。会社員を辞めて10年になるけど、あの判断が正しかったのかどうか、その答えがわかるのはずっと先のことなんだろうと思います。ときどき遠くの他人の人生を生きているような気分になります。今日みたいにさえない夕暮れの日は、特に。
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例えば、夏の雲とか、冷たい雨とか、秋の風の匂いとか(by「ほしのこえ」)
by unchained_melody | 2006-10-18 21:00 | Diary