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Walking wounded

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さびしさの行方

しばらく前からある映画の音楽の仕事に関わっていたのですが、途中で配給元が変更になったり、代理店のひとに嫌みを言われて監督がやる気をなくしたり、主役級の女優がゴシップに巻き込まれて降板騒ぎがあったり、レコード会社が勝手にタイアップを取り付けて来て代理店の人に怒られたり、香港の知らない人から原作に盗作の疑いをかけられたり、僕自身最後まで何となくやる気が起きなかったり、監督が抗鬱剤を飲んでいるのを編集室で見て見ぬ振りをしたり、スタッフが殴り合いそうになったり実際に殴りあってたり、某芸プロの偉い方が夜中にスタジオに怒鳴り込んできたりと、利権に絡んだ人々の気まぐれに翻弄された作品がようやく仮編集を終えたので、MAに立ち会ってきました。

映画って多くの人たちの膨大な時間と企業の余剰マネーから成り立っているものなので、そう言う意味でF1に近い気がします。華やかなレースのあと、ドライバーが表彰台に立つその裏に、監督はじめメカニックや資金を動かす人たち、テレビ局やプレス会社等の利害関係者が絡んで、どろどろとした葛藤があるところもそっくり。ところで某監督も書いていましたが、一本の映画に関わってきて一番さびしい瞬間は、その映画のできが悪かったときかも知れません。その映画が本当のところどうなのか、オフラインを見ただけでわかります。監督の表情を見ていてもわかるけど。てゆうわけで、僕と監督は正月早々とてもさびしい気持ちになって、交わす言葉も少なくスタジオを後にしたのでした。
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by unchained_melody | 2008-01-09 02:28 | Diary